日本臨床睡眠医学会
~日本に境界なき睡眠医学を創る集い~

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組織委員長挨拶

2016 年 9 月 12 日

 

 地球で生きる生物としてのヒトの営みは、昼活動し、夜眠るという生活スタイルのなかで長い間行われてきました。それが白熱電球の発明、蛍光灯の普及によって夜を自在に過ごせるようになり、私たちの生活は飛躍的に変化しました。ライフスタイルの夜型化は、年々増強する日本人の睡眠時間の短縮にも現れ、とくに女性における睡眠時間の短縮は欧米に較べると際立っています。女性では、月経周期と関連して睡眠内容が変化し、更年期を経て睡眠は大きく変化します。このような生物学的な差異に加えて、社会や家庭における性差が女性の睡眠や健康に大きく影響していきます。今回は女性の眠りに焦点をあて、睡眠の質の確保に有用とされる光附加あるいは運動附加の効果について言及してみたいと思います。
 
 また、近年の24時間社会では、長時間労働や交代勤務が増え、若い人たちの夜の過ごし方も変わってきました。LEDの開発が進み、急速に光環境が変化してきています。現代の日本は、夜になっても昼間のような明るさを保つことができる光環境があるわけですが、そのことが睡眠のタイミングや質を悪化させる要因にもなっています。最近の疫学研究では、夜間に光を浴びる交替勤務者における発がんリスクが問題となっています。一方で、高照度光は、季節性感情障害の治療のみならず、睡眠覚醒リズム障害の有用な治療法として認知され、高齢者、認知症例の睡眠の改善に用いられてきました。
 
 そこで本学術集会では、特別講演に、アメリカよりSonia Ancoli-Israel先生をお招きして、光環境の整備という観点から高照度光による身体疾患とくに乳がん患者の睡眠、症状の軽減を図るお話をしていただくことになりました。
 
 今回は「光」に焦点をあて、どのような適用の仕方がヒトの眠りを改善し、あるいは劣化させてしまうのかを考えていければと思います。古くて新しい光の知識が皆様のお役に立つことを祈念しております。




             特定医療法人朋友会石金病院
             香坂 雅子