日本臨床睡眠医学会
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「サテライトセミナー:睡眠呼吸障害の陽圧療法を学ぼう」レポート

2013 年 9 月 12 日

 平成25年8月4日、前日までの学術集会に引き続き標記サテライトセミナーが開催され、これに参加しました。参加の皆様は、前日までの学術集会の熱い気持ちをそのまま持ち込んでおられ、開始当初より活気に溢れていました。

 今回の内容はCPAPに関する実践的な内容であり、日頃診療に携わっている医師、看護師、臨床検査技師、臨床工学技士また事務関係の方々など、多くの職種の方々が参加されており、本企画に対する関心の高さが伺えました。以下にその内容を抜粋・要約してご報告いたします。
 まず、座学講義から始まり、CPAPの導入から様々な患者へのアプローチ方法などについて、多方面からの視点にて、その実際やコツなどについて実例を交えながらご解説いただきました。

1.「検査時、結果説明時の説明-CPAP導入に向けて」大井 元晴 先生
 CPAP治療に関する基礎的な内容などを、わかりやすく講義していただきました。睡眠時無呼吸症候群およびCPAP療法について、知識の整理ができ理解が深まりました。

2.「CPAP titrationの実際」杉田 淑子 先生
 どのようにして、CPAPの処方圧を決定するためのデータを提供するか、その実際についてお話いただきました。「最終目標は治療を継続できること」という考えは、検査に携わる者として大変参考になりました。

3.「CPAP治療開始時の説明」中井 直治 先生
 患者とどう対応しどう説明をしているのか、実際に診察室の中で行われている患者との診療内容を、具体的に例を挙げながらお話いただきました。PSG検査時のデータと同等かそれ以上に、患者とのコミュニケーションが重要であるとおっしゃられたことが印象的でした。

4.「退院時の説明(技師)」今井 理恵 先生
 退院時の説明は、その後の継続率などにも影響を及ぼすため、患者ひとりひとりに合わせた設定と、しっかりとした説明が必要であること、また気配りの重要性について学ぶことができました。

5.「CPAP導入後のfollow up~技師の立場から~」田中 まなみ 先生
 毎月受診時のフォローアップについて、主にハードの面からお話いただきました。機器のトラブル対応やクレーム処理のために台帳を作成するなど、患者への応対も含め自施設でも実践できそうなことも多々あり、大変参考となりました。

6.「CPAP follow up:外来での考慮事項」谷口 充孝 先生
 外来診察においては、種々の疾病を念頭に置き治療に当たることが重要であると感じました。CPAPの使用により睡眠時無呼吸症候群を対症的に治療できていても、残遺眠気の問題や不眠の問題、治療を継続して行く上でのモチベーションの与え方などについて、難しい面も多々あることを実感しました。

7.「CPAP以外の陽圧呼吸療法(NPPV、ASV)岡村 城志 先生
 NPPVやASVの適応や注意点についてお話いただきました。患者の状態に合わせ、適切な治療方法を選択することが、最も重要であると再認識しました。

8.グループワーク
 講義の後は、小グループ単位でのグループワークを行いました。メーカーさんのご好意により実際の機器をご準備いただき、実機に触れながら機種ごとの大きさや特徴などを確認することができました。また、グループ内の意見交換では、患者対応からクレーム対応のこと、コストのことなど、各施設での諸問題について討議しました。それぞれが参考となることが多く、私自身も自施設での問題のいくつかの解決策を見出すことができました。意見交換・討議が盛り上がったところで、時間切れとなってしまったことが残念でした。

 睡眠呼吸障害の陽圧療法について、チーム医療の視点からこのような内容をしっかりと学ぶことのできる機会がこれまでにあまり無く、実際の診療に携わっている医師、臨床検査技師ほかのスタッフの方々の生の声を聞けたことは、本当に貴重な体験で大変勉強になりました。また私自身、このセミナーに参加したことで、今後の施設での実際の患者対応や業務全般に、自信が持てるようになれたのではないかと思います。そのような意味も含め、本セミナーは大変有意義なセミナーでした。今後も継続して参加したいと考えています。

 最後になりましたが、主催されました関係の方々に、心より感謝いたします。

(三井造船(株)玉野事業所 玉野三井病院 臨床検査技師 高津 昌吾 記)