「第3回ISMSJ学術集会サテライトセミナー」レポートアップ

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「看護師の立場から」

 私は第3回ISMSJ学術集会サテライトセミナー「睡眠医学コーディネータに必要な技法を学ぼう」に同僚と2人で初めて参加させていただいた看護師です。

 私が睡眠関連疾患と関わるようになったのは3年前、勤務する病院の小児病棟に配属されたことがきっかけです。そこはいわゆる普通の小児病棟とは違い、小児睡眠障害と小児整形外科の患者さんが入院して治療を行う病棟でした。当時の私は睡眠の病気に対する知識をほとんどもっておらず、入院治療の多くを占める「概日リズム睡眠障害」という病名からして何のことかよくわかりませんでした。また、小児科と言いながら、患者さんの年齢層が高いこと(患者さんの多くは中学生、高校生、中には20歳の人もいる)にも戸惑いました。学童期や思春期の患者さんと何をどう話したらよいのかわからない場面が多く、最初のうちは患者さんとまともに会話をすることができませんでした。少しずつ勉強し、経験もして、それなりの看護ができるようになっていきました。しかしそれとともに、私の中に「この病棟で医師や心理士は専門性を発揮して仕事をしているけれど、私は看護師としてどういうことをしているのだろう? この病棟、この疾患における看護とは何だろう?」という疑問が湧きあがり、モヤモヤするようになってしまいました。そんな疑問を約1年前に当院の医師に相談したところ、看護という視点を持って私たちが患者さんと関われるよう、スリープヘルスについての知識を患者さんに教える「すいみん教室」の企画を作ってくれたり、入院患者さんが自宅での生活リズムを自己評価したり改善できるよう看護師がサポートする機会とツールを作ってくれました。(この企画を始めて1年経ち、私たちの病棟に入院する睡眠関連疾患の患者に対する看護が少しずつわかってきた気がしています。)また、その先生がOSHNetの会員であったことから、今回のISMSJ睡眠コーディネータセミナーを薦めてもらいました。セミナーの内容が私の関心に近く、また患者指導に活かせる知識を得られる期待もあって、飛びつくように参加を申し込みました。実はこのセミナーが一昨年にあったことを知り昨年から参加したいと思っていたのです(が、昨年は企画がなく残念でした)。

 前置きが長くなってしまいましたが、今回のセミナーは5つのセッションからなり、睡眠の基礎知識・睡眠疾患、認知行動療法などについて学ぶ構成になっていました。また、参加者全体を職種ごとのグループに分け、少人数でのグループワークを行いながら全体講義で知識や情報を講義する形になっていました。さらに、グループ毎に経験豊富なファシリテータの先生がついてくれ、ときには先頭に立ち、ときにはさりげなくサポートしてくれたことも大きかったと思います。私たちのグループについてくれた足立先生は、終始優しく穏やかでした。このような配慮が行き届いていましたので、初めて参加した奥ゆかしい(?)私でも、時間がたつにつれて受け身ではなく積極的に参加できました。(確かに「このような研修に看護師が参加してもいいのだろうか??」と気後れしていた自分もいたのです!)

 最初の2つのセッションでは睡眠に関する健康相談と医療相談について、参加者一人ひとりが職場の日常業務で思っていることや話題になっていることについて話し合い、さらに事例の検討を行い、全体講義を受けました。その後グループ毎に話し合われたことを発表する時間がありましたが、睡眠技士、医師、歯科医師という職種の違いによって視点や疑問が違うという点がとても興味深く感じられ、同じ睡眠医療に関わっていても患者さんの見え方は違うものだと理解しました。また、たとえば悪夢をみるという訴えに対して、私は概日リズム異常という点から「どうやって良い生活リズムや概日リズムを取り戻していくか」「どのような睡眠環境を整えたらよいか」ということを考え説明してきました。しかし、悪夢をみるという現象の裏には実はレム睡眠行動異常症のような脳の機能異常がある場合があるのだというようなことを教えてもらえて非常に新鮮でした。見せていただいたビデオ画像も記憶に残りました。

 休憩後には睡眠関連疾患に対する認知行動療法をテーマにしたセッションがありました。実は私が一番楽しみにしていたのはこの部分だったのです。でも、正直に言うと、ちょっと難しくて良くわからなかったのと、終わった後に自分の描いていたものと説明されたこととの間にずれがあったので、かえって頭が混乱しました。とても簡単に言ってしまうと、私は、こちらがきちんと理屈を説明すれば、相手はきちんと理解でき行動もできるもの、と思っていたところがありました。しかし実際にはそう簡単にいくものではなく(考えてみればそうなのですが)、いくつもある問題の中からポイントを絞っていく作業、そして絞った問題に対する改善点を見出して行く作業が大切なのだと教えてもらいました。

 最後のほうの「産業現場における睡眠の問題」「診療報酬について」というセッションは、時間も少なくなってきていたため短時間で効率よく説明してもらっていたのですが、私の仕事では触れる機会が少なく耳慣れない内容であったことと、それまでの内容が濃厚であったため私自身が飽和状態になってしまっていて、あまり理解できなかったように思います。
一緒に参加した同僚は、今回のセミナーが、睡眠が関わる疾患の問題を理解する良い機会だったということを以下のように話していました。
 
 「私たちはこどもの睡眠の問題に関わっているため、子どもに慢性的な睡眠異常があると、学校に行けなくなる、勉強ができなくなる、自己肯定感が下がってしまうなどの二次的な問題が起こってしまい、それがとても重大なことだということを理解している。でも成人の睡眠疾患に触れる機会はないので、睡眠の問題がもたらす問題の広さ深さを考えてみることがなかった。講義を聞いて、今自分が睡眠関連疾患になってしまったと仮定してみると、社会人としての責任や自覚があるから、辛いけど仕事を休むことはできないし、眠気を我慢して仕事しないといけないというプレッシャーもでてくるだろう。私に夜間の行動異常があるとしたら家族はとても困るし迷惑するだろう。睡眠の問題は決して夜だけにとどまらず大きな問題につながっていく。そう考えると、治療に来ている患者さんやご家族が感じる『何とかしたい、してほしい』という思いは本当に切実なものなのだろう。」

 同僚の話を聞いていて、私も同じような気持ちになりました。そして、もっと睡眠のことを学び、患者さんの立場に立って、より役に立つコーディネートができる看護を目指したいと思いました。
私にとってははじめて睡眠医学コーディネータというテーマで学習する機会だったので、とにかく面白くて充実感があったことは間違いないのですが、「あっという間に終わってしまった」「もういっぱいいっぱい」という相反する感覚のどちらもが自分に残った不思議な体験でもありました。
 
 日常業務の中で得られる経験は大切ですが、それだけではなく知識を深めることも重要だと改めて思いました。今回の経験を単なる思い出にせず、学んだことの中から日常の看護に生かしていこうと思っています。関係されたみなさま、本当にありがとうございました。
 
 研修会の最後に、堀先生が「小児の睡眠障害についても研修会ができれば・・・」とお話しされていました。次の企画が楽しみです。今回のような研修会があればまたぜひ参加したいと思っています。

(兵庫県立リハビリテーション中央病院 信濃 幸江記)

「口腔外科医の立場から」

 8月28日、学会最後のプログラムの一つであるサテライトセミナーに参加時の感想です。
 
 私は地方病院の口腔外科医で、日常の睡眠に関する仕事は他開業医、院内の神経内科からの紹介で口腔内装置を作成することが主になります。他は入院患者様の不眠といったところでしょう。
しかし、時に睡眠指導で舌痛症の患者様の不定愁訴が消失したり、また障害児の睡眠障害の相談が出たりします。
個人的には自分の子供を母、祖母などに預けると寝かせてる横で大人達がいつもテレビをつけっぱなしで寝て、幼い子供だけがいつもサスペンスの犯人を知っているという情けない話とそういった環境を解決できないジレンマをついに解決できずにいたという過去があったものなので、睡眠環境、指導はとても興味があったところでした。
 
 中途半端な知識と経験で対応できるわけもなく、なんとか専門の治療を受けてもらいたいと思い探すが遠いので行けないという話も多いため、微力ながら何かできないかと考え本来なら同日同じ時間のPSGのスコアリングを学ぶセミナーではなくこちらの受講をお願いしました。

 結果は正解でした。

 内容が盛りだくさんで、学会内容の簡単な総仕上げのように振り返りもでき、少人数で充実したものでした。
内容は睡眠に関する健康相談、医療相談(睡眠関連疾患の病態をポイントをついて説明)、認知行動療法、産業現場における睡眠の問題、診療報酬について、といった内容でした。
 
 最後の診療報酬については時間切れでごく簡単にだけお話がありましたが、よくまとめていただいたと思いました。本当にこの会は先生方が時間と労力を使って情熱的にされている、そして現時点でのより良い睡眠診療を広めたい、そして一方的ではなく色んな人の意見や質問を待っているといった雰囲気が非常に伝わります。現実問題、報酬があまりになければ診療を継続するのはなかなかに難しい。残念ながら口腔外科医にとってはあまり関係がない内容であったのですが、これを知っておくことで今後の展開がかわります。これは重要なことの一つでありました。場合によっては心療内科にお願いできる可能性ができたわけです。

 疾患などは他でも勉強できるとは思いますが、今回は認知行動療法についてのお話があり、これが大変参考になりました。本で読んで理解する、腑に落ちるといった感じには全くならなかったのでもう嫌気がさしていたのです。非常に分かりやすく、勉強のとっかかりができました。が、分かったことはこれは自己学習では習得は難しいということでした。
 
 また産業現場における睡眠の問題では、慢性的な睡眠不足の解消は時間がかかり、簡単には解消しないといったことがデータを交えてお話され、これは軽いショックを受けました。自分にないとも言えない、他の人間もこのようなことからミスを起こすかも知れない。どうすればいいのか?常に疑問が頭をよぎる、そんな内容でした。
 
 他、駆け足で予備校のようにこれでもか、と疾患等のお話があり普段勉強をする時間があまりとれないような状態でもセミナーに出ると頭にだんだんインプットされるような濃い内容でした。

 しかし、今回のセミナーは他のものと異色なものに感じました。内容もそうですが、グループ分けがあらかじめ職種によってされておりました。この学会は睡眠についてあらゆる分野の人間が集まる、まるでチーム医療に近いような印象があります。
 
 当たり前のようで当たり前にはなかった学会で、逆にこれは珍しいと一瞬驚きました。が、まずお話することがなかったであろう同じ口腔外科の先生方とお話ができたのでこれもありがたかった振り分けでありました。
 
 今回の学会全体がまた一段と濃い内容で、これがこの学会費でいいのかと本当に思うぐらいの情報量と講師がならんだのですが、個人的にはこのセミナー単独でもいいぐらいではと思います。是非、内容を減らしてでもまたこのような内容のセミナーをして頂きたいです。
 
 また広く一般の方に睡眠衛生が広まることと、現状の生活に合わせたベターな睡眠改善方法の提案といったものができるようになればと願います。
 
(豊岡病院 口腔外科 青井陽子記)

8月28日(日) プログラム
09:30~13:30
サテライトセミナー
睡眠医学コーディネーターに必要な技法を学ぼう
1)睡眠に関する健康相談
-睡眠の生理の基礎知識を活用します   
2)睡眠に関連した医療相談
-各種睡眠関連疾患の病態を押さえておきましょう
3)睡眠関連疾患に対する認知行動療法  
-医療機関に紹介する前にするべきことがあります
4)産業現場における睡眠の問題
5)診療報酬について

【ファシリテータ】
大阪大学保健センター: 足立浩祥
太田睡眠科学センター: 加藤久美
名古屋市立大学: 小栗卓也
労働安全衛生総合研究所 : 高橋正也
社会福祉法人天心会 小阪病院: 渡辺琢也
佛教大学 保健医療技術学部: 漆葉成彦
関西電力病院 : 杉山華子
金沢医科大学: 堀有行

スリープヘルスや睡眠生理、さらに日本の健康保険下の診療や検査のシステムを実習形式で学んでいきます。睡眠全般について、鳥瞰的に見通すことができ、患者(相談者)と十分にコミュニケーションが取れ、正しく情報発信できる技法を身につけます。

「第3回 ISMSJ学術集会 ハンズオンセミナー」レポートアップ

 私は脳波の経験もない呼吸器内科医です。当院のPSG検査は装着も終夜監視も解析も全て技師さん任せです。「睡眠・呼吸センター」と看板を掲げてチーム医療を行う上でこのままではいけない!と思い、初心者対象のこのセミナーに勇気を出して申し込みました。

 セミナーは三上章良先生の「PSGとは」の講義からスタート。PSGを、臨床睡眠医学を学ぶことの大切さとともに楽しさを教えていただき、やる気アップ。

 続いて谷口充孝先生の「PSGのスコア方法」の講義。オリジナルテキストでsleep stagingの基礎~判定、arousalのスコアリング方法、呼吸イベントのスコアリング方法とスピーディに解説していただく。全くの初心者の私はついていくのに必死、
でも自分で成書を読んでも全然頭に入らなかったことがどんどん吸収できていく感じで嬉しい。

 そしてメインイベントのPSGのスコア実習へ。5~6名のグループに分かれ、各1名の実技指導者(私には雲の上のRPSGT資格保持者)がついて下さり、紙記録のraw dateをまさにハンズオンでスコアしていく濃密な贅沢な実習。紙記録を初めて見る私の低レベルな質問にも優しく答えていただき感謝。豊富な経験に基づくちょっとした余談にも感動。

 最後に、三上章良先生よりPSG中にビデオ記録されたPLMsやRBDの画像を見せていただき、PSGにはサマリーデータの数値だけではわからない貴重な情報もつまっていることを再認識。「本日の講師もかつては受講生でした。本日の受講生も将来講師として参加してください。交通費すら出ませんが(笑)」という励ましのお言葉をいただき閉会となりました。

 今回参加させていただいて、PSGを知ることの喜びと、今まで知らずに診療してきたことの怖さを思い知り、もっと勉強したいという気持ちが強くなりました。また、PSGに携わる技師さんの労力に改めて感謝し、もっと情報を共有して診療に生かしたいと思いました。このセミナーを手弁当で企画運営し、知識・技術・経験を惜しげもなく伝承して下さろうとする、熱意と愛にあふれた講師の先生方、本当にありがとうございました。

(KKR高松病院 睡眠・呼吸センター 荒川裕佳子記)

8月28日(日) プログラム
09:30~13:30
ハンズオンセミナー
終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)のスコアリングを学ぼう
【座 長】三上章良
1)PSGとは
大阪大学 保健センター: 三上章良
2)PSGのスコア方法
大阪回生病院 睡眠医療センター: 谷口充孝
3)PSGのスコア実習
少人数のグループに分かれ実技指導者と共にスコア実習を実施
【実技指導者】
掛川市立総合病院 診療技術部検査室: 赤堀真富果
天理市立病院 臨床検査室: 千崎香
徳島大学病院 診療支援部 臨床検査技術部門: 中内緑
大阪大学医学部附属病院 睡眠医療センター: 野々上茂
関西電力病院 臨床検査部: 丸本圭一
大阪回生病院 睡眠医療センター: 村木久恵

※講師・実技指導者は全員RPSGT資格保持者です

少人数のグループに分けて実習指導者を配置し、初心者を対象にPSGのraw dataをスコアしていきます。

「ポスターセッション」レポートアップ

 今回のISMSJポスターセッションでは「Tech’s Corner」8題、「夜間の異常運動・行動」8題、「睡眠呼吸障害とその関連領域」7題、「産業保健・解析方法」8題の合計31演題のポスターが発表されました。ポスターセッションは一般講演と同じ会場内の後方に設置されたボードにポスターを掲示するスタイルであったため、参加者は会場移動することなく広々としたスペースでポスターを一望できるようになっていました。多くの学会がそうであるようにポスターボードで細かく仕切られた会場で隣のセッションの演題発表の進行を窺いながら、発表・質疑を聞いているよりはお互いのセッションがオープンで双方の活発な討議の熱が互いに感じられ良かったと思いました。(本人座長を拝命しておりましたので、他のセッションを覗くことできず進行しておりましてその点充分に満喫とはいえませんが。。。)

 というわけで、私はその他セッションの具体的な内容はわかりませんので「睡眠呼吸障害とその関連領域」セッションについて感じたところをレポートさせていただきたいと思います。

 セッションを通してなにより感じたことはこの時間にISMSJの成り立ちや趣旨とするところが凝縮されていたことです。歯科系の先生が多いセッションではありましたが発表者の臨床領域も様々、発表された演題の内容も幅広く、さらには聴衆にも色々な職種の方がいらっしゃいました。色々な分野の発表を様々なジャンルの人が一度に聞いているわけですから時に鋭い質問もありましたが、「専門じゃないので教えてください」とか「素人考えではこれって変じゃない?!」っと気負いなく質問できる雰囲気でしたし、「こういう職種の人がこの発表を聞くと、こういう質問や意見がでるんだぁ」とか「自分が患者さんと関わる時間のことだけを考えがちだったが、前後のつながりにおいてこういう配慮って必要だな」っと感じるような良い意味の化学反応が起こってたように思います。同じことを専門領域とする人間だけで集まる会はそれとして良さがありますが、睡眠という領域の特性を考えると異なるバックグラウンドの人たちとの共通語をもつことは重要ですし、このセッションでは自分の考えや世界に囚われずにいるための調整作業を参加者全員で共有できていたように思いました。

(九州大学 歯学部 津田緩子 記)

8月27日(土) プログラム
17:00~18:50 ポスターセッション
【座長】村木久恵、児玉光生、津田緩子、神山潤
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「特別講演:The AASM sleep scoring manual four years later」レポートアップ

 第3回ISMSJ学術集会の2日目の午後、ニューメキシコ大学のMadeleine Grigg-Damberger教授によるAASMスコアリングマニュアルに関する特別講演がありました。PSGの記録やスコアに関して包括的にまとめられたAASMスコアリングマニュアルは2007年に出版され4年が経ちます。このマニュアルに対する評価や批判は既にいくつかの論文として公表されています。講演では、このマニュアルを作成しようとした目的や背景の説明を含め、このマニュアルの影響と効果を評価した文献のレビューが行われました。

 講演のはじめに、このマニュアルの作成された背景について説明がありました。このマニュアルは、米国における標準的なPSGの記録、解析、報告の方法を定めようとする最初の勇敢な試みであったということです。マニュアル作成にあたっては、目標や留意するテーマなどがしっかりデザインされています。しかしながら、米国の保険制度などの政治的な影響も盛り込まれていて、その結果、成人の低呼吸のスコアリングルールには2つのルールが存在する形になってしまったということです。

 この低呼吸のルールの影響は大きく、どちらの基準を使用してスコアするかによってAHI(無呼吸低呼吸指数)に大きな差が生じます。講演では2つの文献がレビューされました。その一つは、「痩せた自覚症状のある成人患者において低呼吸を推奨基準でスコアするとOSA患者の多数が軽症 (5 < AHI < 15)と分類され、40%の患者が正常(AHI < 5)と誤って解釈される。痩せた患者においては代替基準でスコアするべきである。」というものでした。Madeleine Grigg-Damberger教授も成人の低呼吸のルールは一つにし、データ蓄積のある代替基準が適当であろうと言及されていました。

 今回の講演で、AASMスコアリングマニュアルとは、米国の保険制度や米国の事情の影響を受けていて、AASMのために作られたものであると再認識しました。そして、ルールやマニュアルに対する考え方が日本人とは明らかに違うと実感しました。ルールやマニュアルというものは、自分たちで造り上げていくものであって、お上から完璧なものが与えられるものではありません。そして、不完全でもいいからマニュアルとして形式化し不都合が生じれば改訂していく、そのように考えるべきだと感じました。AASMスコアリングマニュアルの改訂作業は既に始まっているということです。ルールあるいはマニュアルにないことや解釈できないことは、ケースバイケースで、自分たちで自信を持って決めれば良いと思うようになりました。

 もともと日本人は技術的なことを人へ伝えていくときにマニュアルなどを使わず実技で教えていくことが多く、場合によっては、「技は盗みとれ」というように、マニュアルなどは決してつくらない傾向があったように思います。ルールなども「暗黙のルール」というようなきっちりとした形にはなっていないが、しっかりとルールは存在するというようなことが多くあります。最近では、海外のマニュアル文化が浸透してきて、そのような傾向も大きく変わってきているとは思いますが、マニュアルなどの形式化されたものにはまだまだ不慣れなようです。形式化されたものがあるとその通りに完璧に従わなくてはならないと思い込みます。そして、マニュアル通りにいかないことが起こるとそこで止まってしまい、先へ進めなくなってしまうことが多々あります。マニュアルなど形式化されていないときには自分で応用を利かして先へ進めていくことができていたはずです。

 そのためか日本人がルールやマニュアルを作るとなると完璧なものが要求されます。そして、ルールやマニュアルは完璧なモノだと思い込んでしまっている人も多いです。ルールやマニュアルは誰かから与えられるものと勘違いしている人も多いでしょう。初めから完璧なものは簡単には作れません。だから、安易にどこからか既にあるものを持ってくることになります。自分たちのものでなく他から持ってきたものであるにもかかわらず完璧に従おうとします。そして、立ち止まってしまい、誰かに頼ってしまうというのが、私も含め、日本人の特徴であり、特長ではないでしょうか。

 前述の低呼吸のルールのところでレビューした文献の「痩せた成人患者」ですが、文献では平均のBMIが24.4となっています。日本人にとってはけっして「痩せた」とは言えない数値です。AASMスコアリングマニュアルは米国のマニュアルです。このマニュアルの良いところは利用し、日本には日本にあったマニュアルを造っていく勇敢な試みが必要であると強く感じました。

(大阪大学医学部附属病院 睡眠医療センター 野々上 茂記)

8月27日(土) プログラム
15:40~17:00
特別講演
The AASM sleep scoring manual four years later 
【座長】堀有行
University of New Mexico:Prof. Madeleine Grigg-Damberger

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「第3回ISMSJ学術集会テーマ :睡眠関連疾患の診療の標準化に向けて」レポートアップ

「第3回ISMSJ学術集会のテーマを振り返って」

 過去のISMSJ学術集会を振り返ってみると、第1回では明文化されたテーマこそなかったが、異なる環境や立場の人間が「睡眠」という共通語のもとに集う学術集会、という明確な目的が掲げられた。プログラムにはその仕掛けが散りばめられ、実際にさまざまな職域の人間が互いに交流を深めることができた。

 第2回は「Back to the Basics −考える診断、考える治療−」というテーマのもと開催され、睡眠生理を基礎から理解し、臨床に昇華させるためのプログラムが満載で、やはり盛況であった。
 
 第3回となる今回は、「睡眠関連疾患の診療の標準化に向けて」というテーマのもとで開催された。この「標準化」という言葉は,解釈が簡単なようで難しい。医療においては「標準化=治療ガイドラインづくり=薬をどのように使うか」と誤解されかねないからである。しかし組織委員長の言葉を借りれば,真の標準化とは“患者中心の睡眠医学を確立する”ことであり、その第一歩は,睡眠医学に関わる者がまず“睡眠生理とスリープヘルスという共通語を皆で身につける”ことと理解される。この目的のため、今回の学術集会では「睡眠関連疾患診療医と睡眠技士のための診療指針」という専門教育プログラムが全日程の半分を占め、さらにMadeleine Grigg-Damberger教授らのてんかんの講義が盛り込まれた。

 今回のメインのひとつとなった専門教育プログラムは、
(1)SAS診療において簡易モニターをどう利用するべきか
(2)SAS診療における機器処方と管理はどうあるべきか
(3)夜間の異常行動:PSGをどのようにいかすか?
(4)RLSの診療:4つの診断基準項目で済むのか?
(5)眠気の診療:何でもSASと短絡しないために
(6)不眠の診療:自動睡眠薬処方医にならないために

の全6セッションで構成された。このうち(1)では簡易モニターの特性と限界について実例を交え、間違った使用方法や解釈がなされないようにするための指針が示された。また(4)では、まず冒頭でRLSがスポンサードバイアスにより一部正確でない啓発がなされていることが断られ、続いて最新の文献報告に基づいて、診断上の問題点、病態、治療およびその課題について詳細な講義がなされた。(6)では、不眠症治療について、まず薬ありきでなく契機や要因をさぐる必要性が、演者のユニークな語り口と共に示された。さらに(3)や(5)では,(ある意味ISMSJの良心と言えるかもしれないが)自らの失敗談をもとに、医師と睡眠技士とで共に試行錯誤しながら診療の質の向上が図られている様子が伝えられた。すべてのセッションで共通した目的は、医師と睡眠技士とがチームとして機能するために必要な基礎知識の習得であった。

 このため内容は過度にデータやエビデンスに偏らず、あくまで実地に基づいており、誰が聴いても「うんうん」と相槌を打てたり、「ああそうだったのか」と感嘆できるものであった。中には「社会のカラクリ」から講義が始まるものもあって、驚かれた方も多いかもしれない。しかし、単に教科書的な事項を聴くだけでなく、例えば今日のスコアリングルールができた背景を社会的背景からも学び、問題点も含め理解できるような学術集会は、本邦では多くないと思われる。

 Grigg-Damberger教授と立花直子先生による「睡眠専門医と睡眠技士のためのてんかんの基礎知識」では、夜間のてんかん発作による異常行動のVTRがいくつか提示され、活況であった。VTRセッションと聞くと、どうしても異常行動の派手さのみに目が移ってしまいがちである。しかし本セッションでは、異常行動が起こるメカニズムについて、実際の脳波・PSGデータを交えて解説がなされ、大変理解しやすい内容であった。無論英語のセッションであったが、Grigg-Damberger教授のご厚意と今回は帰国できなかったがヒューストンの河合真先生の翻訳と立花先生の編集により、和訳入りのバイリンガルスライド資料が配布された。このため参加者は、滅多にない詳細な講義を食い入るように聴講していた。私が特に印象に残ったのは、今回の内容の多くが自身で実際に異常行動を観察された臨床経験がベースになっていた点である。この点で、やはり講義の説得力が異なるし、質疑応答も的を得ていてわかりやすかったように思う。アメリカでは夜間異常行動を呈する病態は神経内科医のテリトリーと聞いていたが、その最たる臨床と教育の経験を積まれた先生の話を聞き、驚嘆の念を抱かざるを得なかった。

 今回のテーマに戻るが、これらのプログラムは、あくまでも“標準化(=患者中心の医療のために皆で共通語を身につける)”に向けた基礎知識の習得が目的であった。しかし背景には、医師と睡眠技士とのinteractionであったり、直接睡眠中の現象を観察することの重要性であったり、睡眠リテラシーであったりと、睡眠診療の成熟に向けたメッセージも随所に込められていた。ISMSJによる睡眠診療の標準化への取り組みは,これからも続いていく。

(名古屋市立大学 神経内科 小栗卓也記)

「第3回ISMSJ学術集会」レポートアップ

「第3回ISMSJ学術集会に参加して」

 不眠を始めとする睡眠障害は、人口の半分が経験し、そのうちの10-15%が深刻な問題と捉えているcommon disease であるが、学生時代を振り返って見ると、恥ずかしいことにこのcommon disease について勉強した記憶がない(睡眠生理を少し学んだぐらい)。
 睡眠は一日の1/3を占めるものであるから、これが障害されていることは、大きな問題として捉えられるべきだと思うが、今までは(今も?) 等閑にされてきた。例えば日中の眠気を一例にとってみると、「社会人たる者昼間眠たくても我慢するのが当たり前」といった風潮がまかり通っている。かくいう私も医師になり、担当入院患者さんの不眠の問題を考えるまで、上記のように考えていた。不眠について深く考えたこと、勉強したことがないため、対応に苦慮する。入眠型なら短時間作用型の睡眠薬、 中途覚醒なら中~長時間作用型の睡眠薬を、“とりあえず”処方していた。
 当然、これでは対応できない患者さんも出てくる。私のような経験をした(している)医師は多いのではないだろうか。

 このような自分の睡眠医学に対する知識の貧しさを何とかしたいと思い、第3回ISMSJ学術集会に参加した。
 
 学術集会は3日間開催され、この3日間で①臨床:睡眠関連疾患、 睡眠関連疾患と他科疾患との関連、②生理学:睡眠生理学やPSG、 ③第一線で活躍する睡眠医学専門医の歩みといった、臨床、基礎、そしてキャリアプランを網羅的に学び、知ることができる非常に密度の濃いものであった。加えて、第一線で活躍している先生方に気軽に話せる雰囲気もあり、よくある堅苦しい学会とは一線を画くものであった。

 ①臨床に関しては、循環器疾患やてんかんと睡眠関連疾患との関連、 眠気や不眠診療、 そして、眠気の強い患者への運転継続についてなど、一般内科医が知りたいことが学べた。3日目に行われたサテライトセミナーでは、睡眠障害を訴える患者に対するアプローチをチュートリアル形式(小グループに分かれ、各々のグループに睡眠医学を専門にするチューターがつく)で学べ、実践にすぐに役立つものであった。

 ②生理学に関しては、睡眠の中枢, 睡眠と内因性物質, 睡眠ステージと脳波変化から始まり、PSGから得られたデータの解釈を学べた。まったくの初心者が、睡眠医学に興味を持ち、関わろうとするにはよい取っ掛りになったのではないだろうか。

 ③睡眠医学に興味を持っている医師にとって第一線で活躍している先生の経歴を知ることは、自分のキャリアプランを立てる上で非常に有用であった。

 ISMSJ学術集会へ初めて参加でしたが、第4回学術集会も是非参加したいと思うものであった。

(関西電力病院 神経内科 谷岡 洸介 記)

 

 

「研究シンポジウム:運転継続が危険な眠気を疑われた人に睡眠医学は何ができるか?」レポートアップ

 眠気と交通事故は切っても切れない関係です。ただし,この両者を診療場面あるいは実生活でどのように扱えばよいのかとなると,実に心もとない状況になります。2003年2月26日の山陽新幹線の運転士居眠り運転事件以来,ややもすれば単純な見立てだけで対応されてきたようにみえます。

 第2回ISMSJ学術集会が終わった昨年の10月初旬に,次回,つまり今回の学術大会の企画について立花直子先生と打ち合わせました。その際,眠気と交通事故について取り上げるという話になり,認知症高齢者の運転に関する池田学先生のお仕事をご紹介いただきました。さらにうれしいことに,池田先生の中公新書「認知症」もお送りくださいました。
 
 この本を読んで最も感激したのは,「認知症に関わる専門家は運転を止めざるをえなかった高齢者やご家族に,中止の過程,さらに中止の後にも,生活を支援する仕組みを作らねばならない」という強いメッセージでした。認知症と睡眠の病気とはもちろん別々です。しかし,これほどまでの意識をもって取り組んできた睡眠の専門家は果たしてどのくらいいるでしょう。

 

 今回のシンポジウムにおいて,池田先生からは認知症高齢者への診療のコツ,ご家族への支援,地域社会への働きかけなどをお示しいただきました。これらは睡眠にともなう問題に取り組みときのよいモデルになると実感しました。

 警察庁交通局運転免許課の大高圭司補佐からは,高齢の運転者に関する施策の変遷と認知機能検査(講習予備検査)について,詳しく講演していただきました。認知症と言っても,ご承知のように,症状やその後の進行などは個人差が多いものです。であっても,行政にはなんらかの有効な施策をとるよう,社会的に求められます。患者さんが重大な事件を起こせば,そのような要請はまして強くなります。

 認知機能検査は完全ではないでしょうけれども,客観的な検査の導入という点では画期的と言えます。ご講演を聞きながら,科学的根拠を保ち,しかも実社会で使える眠気検査があれば重宝すると思いました。

 総合討論では,そもそも眠りを軽視する日本社会の問題点から,患者さんの起こした交通事故に対する主治医の法的責任まで議論されました。睡眠の分野での課題はたくさんありますが,「認知症とちがって,うまくかかわれば,睡眠の問題は改善する余地があり,その意味で“睡眠は明るい”」と,池田先生は最後に話されました。このお言葉はまさに今回のシンポジウムの締めにふさわしく,私たちにとってもなによりの励ましになりました。

 池田先生,大高補佐,そして参加してくださった会員の皆さまには,本当に感謝いたします。ありがとうございました。

(ISMSJ役員(次期書記) 労働安全衛生総合研究所 高橋正也 記)

8月26日(金) プログラム
13:40~15:10
研究プログラム
シンポウジウム:運転継続が危険な眠気を疑われた人に睡眠医学は何ができるか?
【座長】 高橋正也
熊本大学医学部付属病院 神経精神科: 池田学
労働安全衛生総合研究所: 高橋正也
警察庁交通局運転免許課: 大高圭司

「Meet the Professor:神経生理検査から考える睡眠医学の研修システムとキャリアプラン」レポートアップ

 題名として、『神経生理検査から考える睡眠医学の研修システムとキャリアプラン』と銘打っていますが、米国でどのように資格が取れるようになり、どこに就職するといった進路指導や将来設計の説明会などでは当然ありません。米国睡眠医療の最前線を担っておられるProf. Grigg-Dambergerから、御自身がどのようにして今に至るかを、ウィットにとんだスライドと共に紹介していただいた非常に貴重な場でした。

 その中で、Prof. Grigg-Dambergerは神経内科医としてトレーニングを受け、今ではてんかんや睡眠(とくに小児)といったところまで手を伸ばされているとのことでしたが、当初はてんかんを主に診療されていたとのことでした。それが、『だれか睡眠しないか』との呼び掛けに対し、すかさず手を挙げて『できます』と幸運の女神を真正面から捕まえに行ったところは、さすがと思いました。

 睡眠医療は、米国においても歴史が浅く、ヨーロッパが1960年頃から始まったのに対し、1970年頃からとのことで、当初は教科書もそうそうなく大変だったとのこと。そうはいっても現在では既に神経内科(not a department of internal medicine, but neurology)における一部門として確立しており、日本の神経内科医であるわが身にとっては羨ましい限りでした。というのも、現状の日本では、睡眠外来とはある意味ゴミ箱的な扱いを受けかねない診療部門であり、睡眠時無呼吸だけでない睡眠関連疾患を扱う医者にとって、自身のidentityが浮雲のようでならないからです。加えて米国では、脳波検査を一手に引き受け、かつてんかんや術中のモニター設備をもっている部門と睡眠ラボとが近い位置にあり、両方を経験する機会があることも中枢神経系の臨床神経生理学自体のidentityが見えやすくなっている理由かと思いました。
 
 Prof. Grigg-Dambergerの話は自身の歩んだ道の紹介にとどまらず、『深く静かにICSD-Ⅲ作成計画潜航中』、『下肢静止不能症候群で鉄ネタを通せる雑誌は?』、『睡眠時の異常な行動×夜間PSG=てんかん?』 など多岐にわたっていました。

 今回のMeet the Professorは、睡眠とは脳の活動の一つであり、それによって睡眠は成り立つということを自覚しなおした場でありました。

 お話の間、Prof. Grigg-Dambergerは、常に大変ゆっくりと聞き取りやすく話されており、その心遣いが非常にありがたかったです。翻って十分聞き取れなかったわが身を恥じ入るばかりでした。
 
 最後に、この文章を読んでいただいた方にProf. Grigg-Dambergerから頂いた言葉を贈りたいと思います。

 『Hope I have not put you to sleep.』 

(徳島大学医学部 神経内科 谷口浩一郎 記)

8月26日(金) プログラム
18:00~19:30
Meet the Professor
テーマ:神経生理検査から考える睡眠医学の研修システムとキャリアプラン
【コーディネーター】立花直子
University of New Mexico:Prof.Madeleine Grigg-Damberger

第3回 ISMSJ学術集会

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■「研究シンポジウム:運転継続が危険な眠気を疑われた人に睡眠医学は何ができるか?」レポートアップ
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組織委員長挨拶

 

■ 第3回 ISMSJ(日本臨床睡眠医学会)学術集会開催にあたって

 「睡眠医学」という名称から「睡眠の病気を診断・治療する」という狭い役割を想像しがちですが、米国ではsleep medicineの守備範囲は広く、睡眠のメカニズムを解明する研究に始まり、社会に対して睡眠の重要性を啓発する活動まで、人々のより健康な眠りと目覚めにつながることすべてが含まれています。

 Integrated Sleep Medicine Society Japan(日本臨床睡眠医学会)では、不眠、眠気などを訴える方々に対して、各保健医療職がチームを組んで全人的にどのようにアプローチしアドバイスや診療指針をたてるかを学ぶ場を提供することを大きな柱の一つとしていますが、その「学び」の中には睡眠生理とスリープヘルスという共通語を皆が身につけるという命題が含まれています。

 現実にも、医師、看護師、検査技師、保健師及びそれに準ずる保健医療職にある方は、職場や地域、医療・介護施設など様々な現場で睡眠に関する相談や問題を扱う機会が増えてきています。

 しかし、この方々に必要な教育プログラムは日本にありませんでした。睡眠時無呼吸症候群などの特定の疾患の有無を調べるための「検診」のノウハウではなく、統合的な立場で「睡眠」を学ぶ場を提供したいと考えています。
 
 第3回ISMSJ学術集会は、会員のアクセスを重視し神戸にもどってきました。今回のテーマは、「睡眠関連疾患の診療の標準化に向けて」です。諸外国と比べて進んでいない医療機関の機能分化と不備の多い診療報酬制度のなかで、「患者中心の睡眠医学を確立してゆこう」という秘めたる思いが、このテーマにはあります。
 
 東日本大震災と原子力発電所災害という危機の中で、なでしこジャパンがワールドカップで優勝し日本を元気づけてくれたように、ISMSJという睡眠医学を学び交流の場を持つ私たちは、睡眠に関連する生理・病態を鳥瞰し、健康増進や睡眠関連疾患の診療を担う人材を育成し日本の「元気」に貢献できればと思います。
 
 皆様とともに、有意義な3日間となることを祈念いたしております。

              第3回ISMSJ学術集会 組織委員長
             金沢医科大学 医学教育学 堀 有行

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