第2回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会
ワークショップ「機器を必要としない睡眠関連疾患の診療」
提案型ワークショップ レポートアップ。
第2回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 教育ワークショップ「機器を必要としない睡眠関連疾患の診療」
第2回 日本プライマリ・ケア連合学会学術大会教育ワークショップ「機器を必要としない睡眠関連疾患の診療」 レポートアップ
2011年7月に札幌において開催された第2回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会プログラムに、教育ワークショップ(WS)「機器を必要としない睡眠関連疾患の診療」が開催された。この学会ではワークショップの一部を一般募集し、提案されたものの中から審査を経て採択が決まる提案型のものとしており、今回、ISMSJの前代表である堀有行先生がプライマリ・ケア領域における睡眠診療の教育的な啓発を目的として提案し、採択されたものである。筆者は、このWSにタスクフォースの一人として参加する貴重な機会を得たので、報告を行いたいと思う。
参加人数は30人、90分間の事前参加型ワークショップであったが、事前登録開始早々に参加予約が埋まってしまい、睡眠診療に対するプライマリ・ケア領域における関心の高さが感じられた。参加者は開催地である北海道内だけでなく、全国各地からの医師が幅広く参加していた。
このWSでは、ミニレクチャーと参考症例の提示、また、参加者が具体的に睡眠診療において困ったこと、日頃から悩んでいること、疑問点などが6人一組のグループごとに話し合われ、最後に司会の堀有行先生が総括を行い、特別な睡眠検査を用いないで睡眠関連疾患の診療方法、どこまでがプライマリ・ケアで診療可能であるのか、現実に問題となった疑問点の対処方法のアドバイスについて参加者全員で共有が図られた。
ミニレクチャーは3つWS内に組み込まれており、「日本の睡眠医療の現状・問題点について」「睡眠関連疾患の種類と診療計画・日本型睡眠専門医に紹介する場合の注意点」「睡眠歴のとり方と質問紙の利用方法」「睡眠薬の使い方・つきあい方」というテーマが、事前に準備された総説原稿資料のテキストをもとに要点について解説・講義がなされた。時間的にも制約があり、さらなる詳細については配布されたテキストを読むことにより、復習と確認、より深い知識の習得が後日できるように構成されていた。また、この方法は、短時間のWSにおいて必要な内容を最大限に漏れなく伝えるためには司会者やファシリテーターの立場からみても臨機応変に強弱をつけられ有用な方法だと、経験不足の筆者は実感させられた。
実際に、参加者同士のグループワークで出された、日常診療において遭遇した悩み、問題となっている睡眠診療の内容は多々あったが、やはり「睡眠薬の使い方」、「夢をみることで悩んでいる患者さんへのアドバイスやマネージメント」、「睡眠時無呼吸症候群の診療の実際」、「日中の眠気を訴える患者のプライマリ・ケアでの診療」、「本格的な精神医学的な問題を抱えた患者に対する精神科との連携」といったとても具体的な内容が多岐にわたりとりあげられた。これらのテーマについてファシリテーターからの意見だけでなく多くの参加者から双方向的に意見が交わされ、このような問題の解決型思考方法をみなで共有することがなされた。参加者の臨床経験は多岐にわたり、診療科部長クラスの医師から、初期研修医ないし後期研修医・レジデントといった若手の医師まで幅広く参加しており、特に若手医師からのWS後の筆者への個別の質問・相談でも、睡眠の諸症状の訴えに対する初期対応、診療の進め方がわからない、手探りでやってみている、といった悩みなどが寄せられた。
WS終了後に、フィードバックをいただくため、任意で無記名のアンケートを参加者に記載頂き回収したが、参加者の過半数の参加動機が「日頃の診療で睡眠関連疾患の知識が必要だと感じるから」ということを理由に挙げており、参加後の評価として「参加前に期待した知識が得られ、今後のプライマリ・ケア診療に役立つ」と感じている参加者が8割強にのぼることからも、今回のWSはその役割を果たせたようである。一方、今後の課題としてWSの時間が90分間と短いため伝えきれなかった内容が多く、参加者からももっと深く議論したい内容も多かったようである。今後の企画に関する参加者からの希望としても、「プライマリ・ケアでできる睡眠関連疾患の個々の疾患への対応」、「睡眠薬の基本的な使用方法」、「具体的な事例検討」、「睡眠衛生指導のより踏み込んだ内容・方法」といった項目が今後開催してほしいWSの内容として記載されていた。
今回ファシリテーターとしてプライマリ・ケアに関心のある医療者の学会のWSに参加し、プライマリ・ケア領域における睡眠診療の知識を学ぶ場のニーズ、医療者の高い意識を生に感じることができた。現在、ISMSJにおいて、統合的な睡眠医療を学ぶ機会や、実践的な診療・検査技術、睡眠の健康相談といった睡眠の諸症状に対する初期対応の方法を学ぶ機会が得られるようになっており、ぜひそのような場に参加して、様々な睡眠相談・診療場面においてプライマリ・ケアに取り組んでいる医療者のみならず、各専門診療科の医療者においても、睡眠健康相談・睡眠医療における知識の底上げがなされればと強く感じた。
(大阪大学 保健センター 足立 浩祥 記)







